日頃私達が口にする多くのものに含まれている、身近なカフェインですが、夜眠れなくなるなどの困った作用もあります。また、最近は、カフェインを抜いたコーヒーやお茶なども見かけるようになりました。いかにカフェインの摂取量に気を配る方が増えたか、わかりますね。
ここでは、そんなカフェインについて、そして、最近よく目にするけど混乱しやすい「デカフェ」、「カフェインレス」、「ノンカフェイン」、「カフェインフリー」という言葉について説明します。
カフェインについて
カフェインがコーヒー、紅茶、緑茶に含まれているのはご存知の通りですが、コーラ、チョコレート、ココアなどにも含まれていることは、あまり知られていないようです。
ちなみに、「コーヒー」、「紅茶」、「緑茶(煎茶)」に関しては、食品安全委員会のデータによると、コーヒーが一番多くのカフェインを含み(100mlあたり60ml)、次いで紅茶(100mlあたり30ml)、そして煎茶(100mlあたり20ml)の順でカフェインを含むようです。
カフェインには、眠気覚ましや興奮作用、利尿作用があり、「集中力を高め、作業のスピード&質を高める」などの効果から、広く利用されています。
カフェインの副作用
このように私達の生活の身近にあるカフェインですが、過剰摂取すると副作用を引き起こす場合があります。カフェインの副作用としては、以下のものなどが挙げられます。
1.不安や神経過敏を引き起こす
カフェインは、過剰に摂取すると不安や神経過敏を引き起こすことがあります。
カフェインは、体が疲れたことを感じさせる働きのある脳内物質「アデノシン」の作用を阻害すると同時に、交感神経を刺激する「アドレナリン」の放出を引き起こします。しかし、過剰に摂取するとこれらの作用が顕著になり、不安や神経過敏が引き起こされることがあり、時としてイライラといった症状につながります。
2.不眠
カフェインは眠気覚ましとして飲む方も多いですが、この効果が諸刃の剣になることがあります。
これは、カフェインの効果が数時間後に現れることがあるためで、例えば午後の遅い時間にカフェインを摂取しても夜に眠れなくなることがあります。
カフェインが体内に残る時間は平均5時間程度と言われていますが、人によっては1時間半、長い人では9時間も残るそうです。このカフェインの摂取量と睡眠への影響の度合いは、遺伝子や他の要素に左右されます。
睡眠は健康的な生活を送る基礎ですので、特にカフェインに敏感な人は、午後の遅い時間(夕方4時以降など)にコーヒーやお茶などのカフェインが入った食品を摂取するのは避けた方がよさそうです。
3.お腹がゆるくなる
カフェインには、胃腸の消化管が食物を下へ送る運動を刺激する作用があるという報告もあります。
そのため、カフェインを大量に摂取すると、お腹がゆるくなったり、人によっては下痢を引き起こすことがあります。
4.依存性がある
カフェインには、精神的依存および身体的依存を引き起こすことがあります。
毎日多量のカフェインを摂取する人は、頭痛、疲労感、集中力の欠如などの離脱症状を起こすとも言われています。また、人によっては、気分が落ち込んだり、吐き気などが起こる場合もあります。
5.血圧の上昇
ほとんどの人において、カフェインが心臓病や脳卒中のリスクを増加させるという報告はないようですが、カフェインを多量に摂取すると、カフェインの神経系への刺激作用によって、血圧が一時的に上昇する可能性があります。
6.心拍数の増加
人によっては、カフェインを多量に摂取すると心拍数が増加し、心拍リズムに変化が起こることがあります。
ただ、これは全ての人に起こるわけではなく、多量のカフェインを摂取しても何の変化もない人もいます。もし心拍数の増加やリズムの変化が感じられた場合は、カフェイン摂取量を少なくした方が良さそうです。
7.疲労感
カフェインは体を興奮状態にし、元気にしてくれることは知られています。
しかし、カフェインが体内から出た後はリバウンドが起こり、疲労感を感じることがあります。例えば、エナジードリンクを飲んだ後は注意力が高まり、気分が高揚しても、翌日には疲労感に襲われることがあります。
これを避けるには、カフェインを多量に摂取するのではなく、程よく摂取するのが良いでしょう。
8.利尿作用
お茶やコーヒーを飲んだ後にトイレに行きたくなった経験を持つ方も多いのではないでしょか?
カフェインには膀胱を刺激する物質が含まれるため、カフェインには利尿作用があり、トイレに行く頻度が増えることがあります。
カフェイン摂取の適量
カフェインの体への影響は、人によって大きく異なるため、一日あたりの摂取許容量は、日本でも国際的にも設定されていません。
そのため、カフェイン摂取の「適量」も個人差が大きく、一概に言うことができません。
ただ、カナダ保健省はカフェイン摂取に関し、以下の注意喚起を行っています。
健康な成人
- 大部分のカナダ人にとって、少量のカフェイン摂取は問題ないが、過剰に摂取すると、不眠症、頭痛、過敏症、脱水、神経過敏を引き起こすことがある。
- 健康な成人のカフェイン摂取量の上限は、一日あたり400mg以下(約240mlのコーヒー3杯に相当)とする。
子供
- 子供はカフェインの作用に敏感である。
- 子供がカフェインを過剰に摂取すると、不安症、情動不安、不眠を引き起こす場合がある。
- 平均体重に基づく子供の推奨されるカフェイン摂取量の上限は以下の通り。
- 4~6歳 45mg以下
- 7~9歳 62.5mg
- 10~12歳 85mg
- 13歳以上の子供に関しては、十分な情報がないため確定した勧告は出さないが、体重1キロ当たり2.5mg以下であることが望ましい
妊娠中または授乳中の女性、妊娠を希望する女性
- 妊娠中または授乳中の女性がカフェインを過剰に摂取すると、胎児や赤ちゃんに悪影響を与える可能性がある。
- 妊娠中の女性がカフェインを過剰に摂取すると、流産のリスクが高まり、赤ちゃんの低体重を引き起こす可能性がある。
- 妊娠中または授乳中の女性、および妊娠を希望する女性の1日のカフェイン摂取量の上限は、300mg以下(約240mLのコーヒー2杯程度に相当)であることが望ましい。
なお、他の機関においては、妊娠中または授乳中に女性のカフェイン摂取に関して、以下を上限とするように呼びかけています。
- 世界保健機関(WHO)ー コーヒーであれば1日3~4杯
- 英国食品基準庁(FSA)ー1日あたり200mg(コーヒー2杯程度)
「デカフェ(カフェインレス)」&「カフェインフリー(ノンカフェイン)」について
私のようにカフェインが入っているのを気にする方が多いためか、最近は「カフェインフリー(ノンカフェイン)」や「デカフェ(カフェインレス)」のコーヒーや紅茶が手に入るようになりましたね。大手コーヒーメーカーのUCCも、「UCC おいしいカフェインレスコーヒー ドリップコーヒ 」や「コーヒースティック」などを出しているところから、需要の高さをうかがい知ることができます。
カフェイン含有に関する言葉には、以下の用語があります。
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- デカフェ
- カフェインレス
- カフェインフリー
- ノンカフェイン
「カフェインフリー」や「デカフェ」など、色々な呼び方があってちょっと混乱してしまいますよね。これらの用語について、以下に説明します。
デカフェ(カフェインレス)とは
「デカフェ」または「カフェインレス」とは、もともとカフェインが入っているコーヒーやお茶から、化学物質を使用したり、自然の方法でカフェインを抜いたもののことを指します。
なお、カフェインは完全に抜くことはできないため、デカフェやカフェインレスのコーヒーやお茶にも、少量のカフェインが含まれます。
また、デカフェコーヒー&お茶の作り方ですが、カフェインを除去するには特別な機器などが必要なため、自宅で作ることはできません。
「デカフェ」と「カフェインレス」の違い
「デカフェ」と「カフェインレス」に、違いはありません。ただ、「カフェインレス」は和製英語ですので、海外では「デカフェ」を使いましょう。
デカフェについて
「デカフェ」は英語の「decaf(ディーキャーフという感じで発音します)」のこと。「カフェインを抜いた」という意味の「decaffeinated」を短くしたものです。ちなみに、カフェイン抜きコーヒーは「decaf coffee」でOKです。
最近は、コンビニでもデカフェのカフェオレや、ペットボトルの緑茶や紅茶などが販売されるようになりましたね。さらに、タリーズやドトールなどのカフェでもデカフェのコーヒーを選べるようになったところをみると、味の面においても人々に受け入れられていることがわかります。
また、輸入食品&ユニークな食品を販売する人気のお店「カルディ」のオンラインショップでは、「デカフェ・カフェインレス・ノンカフェイン特集」のページまであり、需要がある証拠だと思います。
私がおすすめするハーブティーの会社も、たくさんの種類のデカフェの緑茶や紅茶のティーバッグを作っているので、特に夜などはとても助かります。
カフェインの除去方法
カフェインの除去は、主に以下の方法で行なわれます。
1.有機溶媒抽出法(Organic solvent process)
この方法では、ものすごく簡単にいうと、コーヒーやお茶に含まれるカフェインを化学物質(具体的には有機溶媒の中に溶出させることで、カフェインを除去します。
化学物質が使用されるため、有害な化学物質のコーヒーへの残留への懸念が懸念されています。
2.スイスウォーター法(Swiss Water Process)
スイスウォーターは、コーヒーのカフェインを除去するのに広く使用されている技術です。こちらの良質でちょっと高級なコーヒー豆は、全てこのスイスウォーター方式でカフェインが除去されています。
この方法では、カフェイン以外のコーヒー成分が全て含まれている「カフェインを含まない生豆抽出物」を使用して、カフェインを除去します。
具体的には、この「カフェインを含まない生豆抽出物」を生豆に接触させて、カフェインだけをこの抽出物中に溶け出させます。これだと、残りのコーヒー成分はこの抽出物中に溶け出さずコーヒー豆に残るため、風味はほぼそのままでカフェインだけが取り除かれるという仕組みです。
なお、カフェインが移った生豆抽出物は、活性炭を使用してカフェインを除去し、再利用されます。
この方法は、化学物質を一切使用しないため「ナチュラル製法」と見なされており、99.9%のカフェインを除去することができるそうです。
ちなみに、「スイスウォーター」という名前は、この方法が開発された国名(スイス)に由来します。。
3.二酸化炭素法(超臨界二酸化炭素抽出)
二酸化炭素を使用してカフェインを除去する方法にはいくつかありますが、全てに共通するのは、二酸化炭素が圧縮されると、気体と液体の性質を併せ持つ状態になることを利用することです。
この気体/液体のときに、二酸化炭素は、密度は液体のような密度を有しますが、粘度と拡散率は気体のような密度と拡散率を有します。この様な状態の二酸化炭素を、水に浸しておいた生豆やお茶に通すと、カフェインが二酸化炭素の中に吸収され、結果的に生豆やお茶からカフェインが除去されます。
この方法では、生豆に含まれる96~98パーセントのカフェインが抽出されると言われています。この方法も化学物質は一切使用しないナチュラル製法です。
私がこのサイトで紹介するブランド(スタッシュ、セレッシャル・シーズニング、トワイニング、ヨギ)のいずれも、カフェイン除去にはこの方式を採用していますので、安心して飲むことができます。
まとめると、1の「有機溶媒抽出法」に関しては、化学物質を使用するため、残留する化学物質の体への影響が懸念されていますが、2と3に関しては、化学物質を一切使用しない自然な製法で行なわれますので、安全であると言われています。
私のお気に入りのデカフェティー
寝る前でも楽しめる、私がおすすめのデカフェのお茶をお教えします。デカフェだけでもたくさんの種類があるので、そのときの気分によって選べて、とても便利です。
スタッシュティー
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- チョコレートヘイゼルナッツ デカフェ紅茶(Chocolate Hazelnut Decaf Black Tea)
- デカフェ バニラチャイ紅茶(Decaf Vanilla Chai Black Tea)
- デカフェ チャイスパイス(Decaf Chai Spice)
- デカフェ プレミアム緑茶(Premium Decaf Green Tea)
セレッシャル・シーズニング
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- デカフェ インディアンスパイスチャイ(Decaf Indian Spice Chai)
- スリーピータイム デカフェ ベリーザクロ(Sleepytime Decaf Berry Pomegranate)
- スリーピータイム デカフェ レモンジャスミン(Sleepytime Decaf Lemon Jasmine)
トワイニング
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- デカフェ アールグレイ(Earl Grey Tea Decaffeinated)
カフェインフリー(ノンカフェイン)とは
「デカフェ」や「カフェインレス」に紛らわしい言葉に、「カフェインフリー」、「ノンカフェイン」という言葉があります。
上でも説明したように、「デカフェ」や「カフェインレス」が、「カフェインが含まれているものからカフェインを除去したもの」に対して、「カフェインフリー」、「ノンカフェイン」は、カフェインを含まない材料から作られているため、最初からカフェインを含まないもののことを指します。
「カフェインフリー」と「ノンカフェイン」の違い
「カフェインフリー」と「ノンカフェイン」は、共にカフェインを含まないもののことを指し、従って違いはありません。
ただ、「カフェインフリー」は英語の「Caffeine free」ですが、「ノンカフェイン」は和製英語ですので、海外では「カフェインフリー」を使いましょう。
カフェインフリー/ノンカフェインの栄養ドリンク
余談ですが、カフェインの集中力を高め、覚醒させる作用は、栄養ドリンクにも利用されています。
でも安心してください。現在では、大正製薬の「リポビタンノンカフェ」や、タケダの「アリナミンR-off」など、カフェインが入っていないものもあります。「栄養ドリンクを飲みたいけど、カフェインは避けたい!」という方は、このようなカフェインが入っていないものを利用する方がいいでしょう。
ほとんどのハーブティーはカフェインフリー
ハーブティーは、カフェインを含まない材料から作られるため、そのほとんどはカフェインフリーです。ただ、ハーブティーに使用される原料の中で、「イェルバ・マテ(いわゆるマテ茶)」と「ワユサ」にだけはカフェインが含まれますので、カフェインが気になる方は注意しましょう。
また、「ブレンドハーブティー」の中には、緑茶や紅茶がブレンドされたものがあり、これらにはカフェインが含まれます。(デカフェの緑茶や紅茶がブレンドされたものもあり、これらはカフェインが少量含まれます。)
実は日本はカフェインフリーのお茶天国
海外に住んでいて日本のことが羨ましいな~と思うのが、日本にはカフェインが入っていないお茶がたくさんあること。私が住んでいるカナダでは、出先で喉が乾いたとき、コンビニで買える甘くないペットボトルの飲み物といえば水くらい。ごくまれに、甘くない紅茶が売っているときもありますが、紅茶じゃないんだよね~という感じです。
それにひきかえ、日本では、お茶はもちろん、麦茶や爽健美茶、十六茶、デカフェの緑茶、ルイボスティーなどがペットボトルで買えて、本当に羨ましい!
ちなみに、日本で身近な飲み物の中でカフェインフリーのものには、次の様なものがあります。
麦茶、黒豆茶、あずき茶、昆布茶、ハトムギ茶、甜茶、杜仲茶、そば茶
それ以外にも、コーン茶、とうもろこしのひげ茶、なた豆茶、ごぼう茶、どくだみ茶、ゴーヤ茶、はぶ茶、苦丁茶(くうていちゃ/くちょうちゃ)、桑の葉茶、柿の葉茶、びわの葉茶、クコ茶、グァバ茶、よもぎ茶、ルイボスティー、ローズヒップティーなどは、すべてカフェインを含まないカフェインフリーのドリンクです。
まとめ
さて、話を戻して、「カフェイン入り」、「デカフェ&カフェインレス」、「カフェインフリー&ノンカフェイン」をざっくりまとめると、こんな感じです。
カフェイン入り
カフェインが入っている。
デカフェ&カフェインレス
- カフェイン入りのもの(コーヒー、お茶など)からカフェインを抜いたもの。
- 依然として少量のカフェインを含む
- カフェインを除去するプロセスはいくつかあるが、「スイスウォーター法」または「二酸化炭素法(超臨界二酸化炭素抽出)」が化学物質を使用しないため安心
- 「デカフェ」と「カフェインレス」は同じものだが、「カフェインレス」は和製英語
カフェインフリー&ノンカフェイン
- カフェインを含む材料を使用しておらず、結果としてカフェインを含まない
- 「カフェインフリー」と「ノンカフェイン」は同じものだが、「ノンカフェイン」は和製英語
デカフェのものが簡単に手に入るようになって、とても便利になりましたね!
カフェインの気になる方は、是非試してみてください。